時短勤務を取ったら、給料は実際いくら減るのか。
就業規則には「勤務時間を短縮できる」とは書いてあっても、手取りがいくらになるかはどこにも書いていません。
検索して出てくるのは育休明けの女性の体験談が中心で、男性の、しかも金額まで書いてある記録はほとんど見つかりませんでした。
だから、自分の記録を全部公開します。
書いてる人:30代パパ/電力大手5年→通信大手4年目/1児の父。家計簿は2018年から自分で管理。時短勤務は2024年6月〜2025年6月、約1年間の実体験です。
結論:手取りは662万円→510万円。それでも「転職前+100万円」の水準を守れた
先に数字を言い切ります。
| フル勤務(2023年) | 時短勤務(2024年6月〜) | |
|---|---|---|
| 所定勤務 | 1日7.5時間 | 1日5時間 |
| 年間手取り | 662万円 | 510万円(▲152万円) |
※本記事の「手取り」は家計簿上の「振込額」ベースです。税・社会保険料に加え、給与天引きの全項目を差し引いた後の金額です。
確かに減ります。年間152万円は小さくない。
それでも、転職前の最終年(406万円)より100万円以上高い水準を維持できました。
勤務時間を3分の2にしたのに、手取りの減りが23%で済んだ——このズレには、はっきりしたカラクリがあります。
この記事が向いていない人
- 時短制度そのものが無い、または取れる空気が無い会社の人 →「会社を変える」側の話は 転職を決めた「3つの見極め」 へ
- 時短しながら収入を「増やす」方法を探している人(この記事は「守る」話です)
- フリーランス・自営業の人(会社員の給与制度が前提です)
時短で「減ったもの」と「減らなかったもの」
僕の場合、給与の設計はシンプルでした。
減ったもの:基本給と賞与(勤務時間に単純比例)
所定勤務が7.5時間→5時間になった分、基本給と賞与はきれいに3分の2になりました。ここに救済はありません。
減らなかったもの:住宅手当は満額のまま
一方で、年間約100万円の住宅手当は時短中も満額支給されました。
手当は労働時間に比例しない——これが「勤務3分の2なのに手取りは77%残った」ズレの正体です。
時短のダメージは「勤務を何割減らすか」ではなく、「給与に占める固定手当の割合」で決まる。
同じ時短でも、手当が薄く残業代で稼ぐ給与構造の会社なら、手取りはもっと大きく減っていたはずです。前の記事で書いた「給与は制度で決まる」は、時短でも同じでした。
時間あたりで見ると、損していない
正直に書くと、時短中も残業は月30時間ほどしていました。5時間で終わらない日は普通にあります。
それを含めた「実際の労働時間」で割り算すると、こうなります。
| フル勤務時 | 時短時 | |
|---|---|---|
| 実働(残業込み) | 月170〜190時間 | 月約130時間 |
| 手取り(月換算) | 約55万円 | 約42.5万円 |
| 時間あたり手取り | 約2,900〜3,250円 | 約3,270円 |
月40〜60時間を家族に返して、時間単価は下がらなかった。
「時短=損」というイメージは、時間あたりで見ると崩れます。
時短を取る前に確認する3つのこと
僕の実体験から逆算すると、申請前に確認すべきはこの3つです。
手順1:就業規則で「賞与の算定基準」を確認する
賞与が勤務時間に比例して減るのか、評価で決まるのか。年収に占める賞与の割合が大きい会社ほど、ここで結果が変わります。
手順2:手当が時短の減額対象かを確認する
住宅手当・職種系の手当が「満額のまま」か「勤務割合で減る」か。ここが手取りの下支えになるかどうかの分かれ目です。僕の場合はこの確認で「思ったより減らない」見通しが立ちました。
手順3:家計簿で自分の「残業代依存度」を出す
直近1年の収入のうち、残業代が何%か。前職時代の僕はこれが約32%あり、この構造のままなら時短は成立しませんでした。依存度が高い人は、時短の前に働き方(または会社)を変える方が先です。
つまずきやすい箇所と、その場での対処
切り出し方:時短制度は「辞めます」の後に出てきた
実は僕は、時短を申請したのではありません。辞めるつもりで上司に切り出したのです。
2月、課長に「辞めます」と伝えました。返ってきた第一声は「まじかー、困るな……」。
そこから話が上へ行き、慰留の面談で「これからも仕事は続けていこう。会社の制度を使わないか」と時短勤務を提案されたのは会社側でした。申請から適用までは約3ヶ月です。
辞意をカードとして使うことは勧めません。ただ、1つ言えるのは——中途半端な相談では、制度は出てこなかった可能性が高いということです。「家族の時間を増やしたい。このままなら辞める」まで腹を決めて話したから、会社も本気の選択肢を出してきた。そう感じています。
「戻れるのか」問題:時短は片道切符ではなかった
時短を1年で終えて、2025年7月にフルタイムへ戻りました。
最初から「子どもが幼稚園に入るまでの1年」と期限を決めていたからです。手続きも問題なく、現在はフルタイム・フルリモートで働いています。
心理面で支えになったのは、貯蓄があったことと、最悪の場合は別の場所で働ける手応えがあったこと。「戻れる・辞められる」の選択肢を持った状態で取る時短は、怖くありませんでした。
いちばんの代償:昇格レースは確実に遅れる
ノーダメージだったとは書きません。
昇格試験のタイミングは同年齢より遅れ、年次が下の社員が先に受けています。時短勤務者への会社の評価は、そういうものだと受け止めています。
それでも僕は、「昇格の1〜2年」と「幼稚園に入る前の1年」を天秤にかけて、後者を取りました。昇格は後からでも狙えます。子どもが小さい時間は、二度と買えません。
“今”の時間は、お金に変えられない。
そのまま使える質問文例(人事・上司に聞く3つ)
申請前の面談で、この3つをそのまま聞けば「手取りがいくらになるか」を自分で計算できます。
- 「時短勤務のあいだ、賞与は何を基準に算定されますか」
- 「住宅手当などの各種手当は、時短でも支給対象のままですか」
- 「時短からフルタイムに戻す場合の手続きと時期を教えてください」
3つ目まで聞いておくと、「戻れるのか」の不安が申請前に消えます。
次に困ること:「制度はある。でも、うちの会社で本当にやれるのか」
制度と数字の確認が済むと、次に残るのは「自分の会社・自分のキャリアでやれるのか」という見極めです。
- 会社と自分の見極め方 → 応募社数2社で内定。転職を決めた「3つの見極め」
- この記事の数字の全根拠(8年分の家計簿) → 大企業から大企業へ転職したら、手取りが1.6倍になった話
また、時短前後の給与を項目別に分解した差額シート付きの完全版を準備しています。第1報はこのブログで出します。
時短の1年でいちばん覚えているのは、平日の昼間、子どもとふたりで何度も通った大きな公園です。
15時に仕事を終えて、そこから公園、買い物、家遊び。
子どもと過ごす時間は体感で3倍になり、なにより疲れていない自分で向き合えた。
残業続きの深夜、家計簿の前で失っていた時間を、この1年で取り戻した気がしています。
収入の設計図が描けているなら、時短は検討する価値があります。
昇格の遅れという代償も含めて——僕は、まったく後悔していません。
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