第二種電気工事士を調べると、「転職に有利」「手に職がつく」「一生モノの国家資格」と景気のいい言葉が並んでいます。
本当でしょうか。
僕は電力大手の1年目にこの資格を取り、その後、通信大手へ転職しました。
つまり「電気業界の中での価値」と「業界の外に出たときの価値」を、両方体験しています。その立場から、正直に書きます。
書いてる人:30代パパ/電力大手5年→通信大手4年目。資格取得の体験は2018年・電力大手1年目のときのものです。試験制度の最新情報は公式サイトで確認してください。
結論:キャリアにはほぼ効かない。それでも「取ってよかった」と言える資格
目的別に、僕の実体験ベースで採点するとこうなります。
| 目的 | 効果 | 実体験 |
|---|---|---|
| 転職の武器にする | × | 履歴書に書いたが、面接で一度も聞かれなかった |
| 年収を上げる | × | 大手企業では資格そのものの評価はほぼない |
| 仕事の理解を深める | ○ | 現場で工事がどう行われているか、見る解像度が上がった |
| 手に職・DIY | ◎ | 実力が手に残る。自宅の電気を自分で触れる数少ない国家資格 |
要するに、「何のために取るか」で価値が180度変わる資格です。
キャリア目的なら他の一手が先。手に職目的なら、かなり良い。
この記事が向いていない人
- 資格で年収を上げたい人 → 年収は資格より給与制度で決まります。転職で手取りが1.6倍になった話 へ
- 技能試験の練習時間がまったく取れない人(暗記だけでは受かりません)
- 電気にまったく興味がない人(暗記2ヶ月がただの苦行になります)
電力会社の中で、この資格はどう扱われていたか
僕が取ったのは自発ではありません。会社の指示でした。
テキストは会社から支給され、費用も会社持ち。技能試験の練習は、社内の技術部門の先輩にマンツーマンで教わりながら毎日やりました。
つまり電力会社にとってこの資格は、新人に持たせる「基礎教養」です。
ここから分かることが2つあります。
- 業界の中では「持っていて当然」——つまり差別化にならない
- 業界の外では「価値が伝わらない」——転職の面接で聞かれなかったのは、おそらくこれ
資格が年収を上げるのではない。給与制度が年収を決める。これは転職して痛感したことです。
それでも「取ってよかった」と言える3つの理由
- 実力が手に残る。合格して終わりの暗記資格と違い、「できること」が増える
- 自宅の電気を合法的に触れる。コンセントやスイッチの交換は、無資格だと法律違反。この資格はその「権利」でもある
- 仕事を見る解像度が上がる。現場・工事で何が行われているかが分かる。電気に関わる業界にいるなら、この理解は静かに効き続ける
働きながら2ヶ月で受かった勉強の順番
僕の場合、挑戦期間は2ヶ月。業務と並行です。やったことは3つだけでした。
手順1:学科は「暗記」と割り切ってスキマ時間に詰める
正直、いちばん苦しかったのはここです。業務と並行しての暗記は、まとまった時間が取れません。テキストを常に手元に置いて、細切れ時間で回す方式にしました。
手順2:技能は「教えてくれる人」を最初に確保する
僕は職場の先輩に何度も直されながら覚えました。手先には自信がありましたが、それでも覚えるまでは我流のクセを直され続けた。逆に、正しい手順を覚えてからは簡単でした。
独学の人はここが最大の分かれ目です。先輩役の代わりになるもの(講座の動画・候補問題の解説動画)を最初に決めてから始めることをおすすめします。
手順3:試験日から逆算して「学科→技能」の練習期間を切る
学科と技能は別日程です。学科の後に技能の練習期間がどれだけ残るかを先に計算して、逆算でスケジュールを組んでください。
つまずきやすい箇所と、その場での対処
- 暗記時間が取れない → まとまった時間を諦めて、細切れ前提に設計を変える(僕はこれで乗り切りました)
- 技能の我流グセ → 器用な人ほど危ない。最初に正しい手順を「見て」から練習に入る
- 費用 → 独学だと受験料に加えて工具・練習用材料で総額5万円規模になります。僕は会社負担でしたが、自費なら「この5万円を何で回収するか」を先に決めておくと迷いません
取る前の自問3つ(チェックリスト)
- 「何のために取る?」——キャリア・年収目的なら、この資格より先にやることがあります
- 「技能を教えてくれる存在(人・講座・動画)を確保したか?」
- 「5万円と2ヶ月を、その目的で回収できるか?」
3つ答えられたら、取る価値は十分あります。年間10万人以上が受ける巨大資格で、合格率は学科・技能とも5〜7割。正しく準備すれば、働きながらでも届きます。
次に困ること:「何で勉強するか」と「何が年収を上げるのか」
この記事を読んで「取る」と決めた人が、次に必ず困るのは「何で勉強するか」です。
働きながら2ヶ月で受かるためのテキスト・講座の選び方と勉強スケジュールは、次の記事として準備しています。公開したら、ここにリンクを張ります。
一方、「キャリアや年収のために資格を」と考えていた人が次に向き合うべきは、資格ではなく給与の構造です。
- 答えの実例(手取り406万→662万の分解) → 大企業から大企業へ転職したら、手取りが1.6倍になった話
- 動くかどうかの判断軸 → 応募社数2社で内定。転職を決めた「3つの見極め」
会社の指示で取って、転職では一度も聞かれなかった資格。
それでも、あの2ヶ月で覚えた技能はいまも手に残っています。
資格の価値は、履歴書の1行になるかどうかではなく、自分の手に何が残るかで測っていい——そう思っています。
⚡
