就業規則には「勤務時間を短縮できる」と書いてあります。けれど、時短勤務にしたら給与がいくらになるのかは、どこにも書いてありません。人事に聞く前に、まず自分でおおよその額を出しておきたい。この記事は、そのための計算のしかたです。
僕は所定勤務を1日7.5時間から5時間に短くして、約1年働きました。そのとき給与がどう動いたかを、計算式と比率で残します。
この記事の結論
① 基本給は時間の割合どおりに減る
② 賞与と手当は会社のルール次第
③ 我が家は勤務3分の2で手取り77%
書いてる人:30代パパ/電力大手 約7年→通信大手4年目/1児の父。家計簿は2018年から自分で管理。時短勤務は2024年6月〜2025年6月、約1年間の実体験です。 詳しい経歴
結論:基本給は時間の割合で減る。手取りの減りはそれより浅かった
時短勤務で最初に減るのは基本給です。減り方は単純で、短くした時間の割合がそのまま掛かります。僕の所定勤務は1日7.5時間から5時間。割合にすると3分の2、約67%です。
一方、年間の手取り(家計簿上の振込額ベース)は662万円から510万円で、77%でした。勤務を3分の1減らして、手取りの減りは23%。差が出たのは、時間に比例しない項目が満額のまま残ったからです。うちでは住宅手当がそれに当たります。
「いくら減るか」は、割合の計算ひとつと、自分の会社で時間に比例しない項目がどれかの確認で、おおよそ見積もれます。以下、その順に書きます。
この記事が向いていない人
- 時短でも手取りを維持できた理由を先に読みたい人 → 時短勤務でも手取り500万を守れた理由 へ
- 減ったあとの家計がきつくならないか心配な人 → 時短勤務で給料がきつい人と、平気だった人の違い へ
- フリーランス・自営業の人(会社員の給与制度が前提です)
時短勤務の給与を計算する3ステップ
用意するのは、直近の給与明細1枚と、就業規則(賃金規程)です。計算は電卓で足ります。

ステップ1:所定労働時間の割合を出す
所定労働時間は、会社が決めている1日の勤務時間のことです。残業は含みません。時短後の所定労働時間を、時短前の所定労働時間で割ります。
例として、1日8時間の人が6時間にするなら、6÷8で0.75。僕は5÷7.5で約0.67でした。この数字が、このあとの計算すべての土台になります。
ステップ2:基本給と賞与に割合を掛ける
基本給 × 時短後の時間 ÷ 時短前の時間
例で計算します。基本給30万円の人が8時間から6時間にすると、30万円×0.75で22万5,000円。月7万5,000円の減額です。この30万円は説明用の仮の数字で、僕の基本給とは関係ありません。
賞与の決め方は会社によって違います(次の章で書きます)。見積もりの段階では、賞与にも同じ割合を掛けておいてください。減る側に倒しておけば、実物を見たときに慌てずに済みます。
ステップ3:手当を種類ごとに足す
明細に並んでいる手当を、1行ずつ2つに分けます。時間に比例して減るものと、そのまま残るものです。分からない手当は、賃金規程を見るか人事に聞きます。
残る手当はそのままの額で、減る手当には割合を掛けて、ステップ2の基本給に足す。これが時短後の額面(税や保険料を引く前の金額)の見込みです。
手取りにするには、ここから税と社会保険料を引きます。細かく計算しなくても、いまの明細で「額面に対して手取りが何割か」を出して、同じ割合を掛ければ目安になります。これは僕の会社の給与体系での話なので、目安として使ってください。
時短で減るもの・減らないもの【6項目の表】
給与明細の項目ごとに、時短でどう動くかをまとめました。右の列は、自分の会社の扱いを確かめる先です。「規程」は賃金規程のことです。
| 項目 | 時短での動き | 確認先 |
|---|---|---|
| 基本給 | 時間に比例して減る | 規程 |
| 賞与 | 算定基準による | 規程 |
| 残業代 | 残業した分だけ出る | 働き方 |
| 手当 | 種類による | 人事 |
| 社会保険料 | 給与に連動して下がる | 人事 |
| 税金 | 所得税はすぐ、住民税は翌年 | 明細 |
基本給は計算どおりに動きます。僕も事前に計算していて、実際の明細とのズレはありませんでした。
それでも、最初の明細はこたえました。手取りは月にして12万円ほど減っています。時短にした時間のぶんが、そのまま消えた形です。新卒の頃の給料みたいだな、と思いました。
ショックは30分ほどで引きました。金額が事前の計算と合っていたので、「想定どおりだな」と確かめて終わりです。事前の計算がいちばん役に立ったのは、この場面でした。
表のなかで読みにくいのが手当です。会社ごと、種類ごとに扱いが違います。住宅手当は、僕の会社では時短中も満額でした。同じ名前の手当でも、会社が違えば勤務時間の割合で減ることがあります。
残業代は、時短だから出なくなるものでもありません。残業した分だけ出ます。ただ、どれだけ残業するかは時短に入ってみないと読めません。見積もりでは残業代をいったん外しておき、入ってきたら上振れと考えるほうが安全です。
ボーナスと社会保険料はどう変わるか
ボーナス:見るのは「算定基準」
賞与が時短でどう減るかは、会社の決め方によります。ここからは僕の会社の場合です。
僕の会社の場合は、働いた時間に比例する決め方でした。賞与も基本給と同じく3分の2になり、金額でいうと iPhone 何台かぶんが減っています。自分の会社がどうかは、賃金規程の賞与の条文を読むか、人事に「時短中の賞与は何を基準に算定されますか」と聞けば分かります。
僕の会社の場合、賞与は算定期間(どの期間の働きを対象にするか)で決まります。時短に入る時期によっては、最初の賞与にフル勤務の月と時短の月が混ざります。年収で見積もるときは、賞与を1回ずつ分けて考えると外しにくくなります。
社会保険料:給与が下がれば、保険料も下がる
時短勤務になっても、僕の場合、社会保険の加入はそのままでした。変わったのは金額だけです。給料が減ったぶん、保険料の負担も減りました。
気をつけたいのは時期です。給与が下がった月から保険料もすぐ下がる、とは限りません。いつの給与から変わるのか、自分で出す書類があるのかは会社によります。時短の申請と一緒に、人事へ確認しておくと安心です。
我が家の実例:勤務3分の2で、手取りは77%だった
ここからは僕の1年の記録です。フル勤務の年を100として、時短の年を並べました。

基本給と賞与は、計算どおり3分の2
所定勤務が7.5時間から5時間になったぶん、基本給と賞与は3分の2になりました。ステップ1で出した割合のとおりで、ここに救済はありません。
手取りが77%で止まった理由
年間の手取りは662万円から510万円。割合では77%で、所定勤務の67%より浅い減り方です。
理由は2つあります。ひとつは、住宅手当が時短中も満額だったこと。もうひとつは、時短中も残業が月30時間ほどあったことです。実働はフル勤務時の月170〜190時間に対して月約130時間。中間の180時間で割ると約72%で、所定ほどには減っていませんでした。
時間あたりで見ると、下がっていない
手取りを実働時間で割ると、フル勤務時は1時間あたり約2,900〜3,250円、時短時は約3,270円でした。月の手取りは減っても、働いた1時間の値段は下がっていません。内訳は時短勤務でも手取り500万を守れた理由に書いています。
時短後の最初の給料日、妻の反応は「減っちゃったねー」と明るいものでした。金額は事前に話してありましたし、これからは時間ができる、という前提が2人にあったからだと思います。
減りすぎを防ぐために、申請前に確認する3つ
計算より大きく減るのは、時間に比例しない項目が薄い場合と、残業代が厚い場合です。申請の前に、次の3つを見ておきます。
1. 賞与の算定基準
賞与が基本給に連動するのか、働いた時間に比例するのかを確かめます。年収に占める賞与の割合が大きい人ほど、ここの違いが金額に効きます。
2. 手当が減額の対象かどうか
手当ごとに「時短でも満額か、勤務時間の割合で減るか」を確かめます。僕はこの確認で、思ったより減らないと見通せました。
3. 自分の残業代依存度
直近1年の収入のうち、残業代が何%を占めているかを家計簿か明細で出します。残業代はステップ2の計算に入っていないので、ここが厚い人ほど計算より大きく減ります。前職の僕は約32%で、そのままなら時短は成り立ちませんでした。
依存度が高い場合は、時短の前に家計の組み方を変えるほうが先です。やり方は残業代に頼らない家計の作り方に書きました。
「時短勤務のあいだ、賞与は何を基準に算定されますか」
「手当のうち、勤務時間に応じて減るものはどれですか」
「社会保険料は、いつの給与から変わりますか」
時短勤務の給与でよくある質問
- 時短中に残業したら、給与は戻りますか?
残業した分の残業代は出ます。僕も時短中に月30時間ほど残業していました。ただ、基本給と賞与に掛かる割合は時短のままです。割増のつき方は会社の規程で確認してください。
- 手当は全部減りますか?
種類によります。僕の場合、住宅手当は満額のままでした。明細の手当を1行ずつ、賃金規程か人事で確かめるのが早道です。
- 税金はどうなりますか?
所得税は毎月の給与に連動するので、給与が下がれば下がります。住民税は前の年の収入で決まるため、僕の場合も、時短に入ってしばらくはフル勤務のときの額が引かれました。
- フルタイムに戻せますか?
僕は約1年で時短を終え、2025年7月にフルタイムへ戻りました。戻す手続きと時期は会社によるので、申請の前に人事へ聞いておくと不安が減ります。
- 男性でも計算は同じですか?
同じです。時短の給与計算の仕組みと確認の手順は、性別に関係なく共通です。
次に困ること:「減った分を、家計のどこで受けるか」
減る額が見えたら、次はその額を家計のどこで吸収するかです。
- 減っても家計がきつくならない準備 → 時短勤務で給料がきつい人と、平気だった人の違い
- 時短でも手取りを守れた内訳と、申請のときの話 → 時短勤務でも手取り500万を守れた理由
- 残業代が多くて時短に踏み切れない人 → 残業代に頼らない家計の作り方
いくら減るかは、申請の前に自分で出せます。計算しておいたおかげで、最初の明細のショックは30分で済みました。
この記事の親ページ(時短のまとめ) → 時短勤務で給料が減るのが怖かった僕が、手取り500万を守れた理由【家計簿8年公開】
